ねぇ、徹！！
今度の日曜日、丈が行きたがっていた、
あそこの博物館にいってみましょうよ
そうだね、母さんもその日に何か用事があるって
言ってたから大丈夫なんじゃないかな？
・・・・・
・・・・・
葉子さん、明日の日曜日に
ちょっと髪を染めるのを
手伝ってもらえないかしら？
あらやだ、お母さま、
明日はどこかに出かけられるんじゃ？
私はどこにも行きませんよ
それともあなた、また私ひとりを残して
３人で遊びに行くんじゃないでしょうね？
ごめんなさい、お母さま
てっきり用事があると思っていて………
完全予約制の博物館だから多分明日は無理だわ
いいわよ、いいわよ
どうせ私なんかと一緒に行ったって
あなたたち、楽しくないんでしょ？
この前も丈の野外授業だって
私だけ、参加できなくて………
違うわ、
あれは参加できるのが両親限定だったのよ
あらあらそうなの、へー
わかりましたよ、
私は残って、部屋の隅で梅干しの種、
しゃぶってひとり寂しく留守番してますよ
それで急に倒れたら
あそこの姑は嫁にいびり殺されたのよって
ご近所中の噂になるわ
あぁ、悔しい
こんな歳になってこんな辱めを受けるなんて………
そこまで言わなくたっていいじゃありませんか？
お母さまの望むこと、全部やって差し上げたわ！
それなのに、それなのに
ひどいわ、お母さま！！
母さん、さすがにそれは言いすぎじゃないかな
葉子はいつも母さんの事、考えてるよ
あら、徹さん、
あなた、どちらの味方なのかしら？
それともあなたも私なんかどうでもいいと
思ってるの？
葉子さんにそう教育されてるのかしら？
お母さま、ひどい……… もう知らないわ
徹、なんとか言ってよ
徹さん！！
徹！！
いつになったら平和な日常が訪れるのだろうか？
いっそこんな家、出てしまいたいと
思う徹であった
（しっかりせぇ、徹！！）
